そして
そんな氏子総代の大事な仕事の一つが、初詣のお世話。具体的にはある程度高額のお賽銭やお供えのお酒を持ってきた参拝客に記帳してもらったり、帰り際にお印として干支の盃や会報誌を差し上げたりしています。僕の当番は31日の夜中から1日の午前中(途中で仮眠とります)と2日の午前中。正月早々寝ずの番みたいでちょっと大変でした。
この当番の間に参拝に来る何百もの夫婦や親子連れを見るわけですが、ちょっと気になったことがあります。
妻が夫より背が高い夫婦を全く見かけません。気になったので調べてみました。
これは平成30年の文部科学省の「学校保健統計調査 身長の年齢別分布」から抜粋して作成したものです。
これを利用して、男女それぞれの集団から任意の男女を抽出した時に、女性のほうが身長が高い確率を求めていきたいと思います。
このグラフは17歳の身長分布ですが、どの年齢もだいたいこんな分布であることを前提とします。ほんとうは平均身長は年を経るごとにだんだん高くなっているので、昔は分布のピークはもっと左寄りだったと思いますが、話を単純化するためにどの年齢もこのような分布であるとします。
このグラフの一番下に各身長における男女の人数の比率が書かれています。男女の集合から任意に男性女性を抽出した時、男性より女性の身長が高くなる確率を求めます。これは、各身長の男性の比率にその身長より大きい女性の比率の累積をかけて、それを男性の全身長分すべて合計することで求めることができます。
もっと分かりやすい表にしたのがこれ。左から二番左は「その身長の男性の比率」。左から三番目が「その男性より女性のほうが身長が高い確率」で、例えば男性が148㎝ならば149㎝以上の女性の比率を合計した96.511%となります。そして一番右がこれら二つをかけたもの、例えば任意の男性女性を抽出して時、男性の身長が150㎝で女性がそれより背が高い確率が0.00918%であるという意味です(0.01%×96.511%)。
この一番右の列を縦に合計すると、「男女それぞれの集団から、任意の男女を抽出した時に女性のほうが身長が高い確率」となります。
この表をグラフにすると、以下のようになります。身長180㎝の男性が自分より背が高い女性の出会う確率はなんと0.01%、女性1万人に一人と絶望的に低い確率となります。また身長150㎝の男性が自分より背が高い女性に出会う確率は91.761%ですが、その男性の比率自体は0.01%しかありません。
これは表の一番右の列をグラフにしたものです。もし皆さんが妻のほうが身長が高い夫婦を見かけたとしたら、その夫の身長は150㎝台後半から160㎝台前半の確率が高いといえます。
さて、最後になりましたが、「男女それぞれの集団から、任意の男女を抽出した時に女性のほうが身長が高い確率」は4.46%となりました。
ここまでは「男女を任意に抽出」ということでした。「男性より女性のほうが身長が高い夫婦を見かけない理由」というためには、夫婦であるということを何らかの形で加味する必要があります。しかし、残念ながらもうすでに僕の能力の限界。最後の詰めまではいけませんでしたが、何となくですが何百組の中に一組もいないくらい低い確率であっても不思議はないのかなと思います。