国土交通省が公開している「不動産取引価格情報検索」から、2022年の金沢市の取引情報を抽出して、不動産取引価格は空間的自己相関があるか検証してみました。
空間的自己相関って名前はすごいのですが、ごく観点に説明すると、「ある地域の取引価格はそこに隣接している地域の取引価格と似ていて、遠い地域の価格とはすごく違う。」ということです。
当たり前じゃん。
しかし似ている、似ていないを主観で判断すると、恣意的に相関があることにしたり、その逆とか、客観性が保てなくなります。
そこで数値的に相関を示す必要性があります。
空間的自己相関には、グローバルとローカルがあって、グローバルはデータ全体として相関があるかどうか、ローカルはそれぞれの観測値(今回は価格)について、相関の有無を判断します。
空間的自己相関の指標としてよく使われるのが、モランのI。
まずはグローバル。一般的に価格が高い地域の隣の価格も高いような気がするので、相関は認められるはず。
モランI統計量は-1で相関がない、+1で完全な相関がある、となります。
データ数は約1000で結果は
Morans I:0.3901330838193996
p-value:0.001
と、統計的に有意な空間的自己相関が認められました。
図にすると、 こんな感じになります。
横軸は、平均価格との差、縦軸は平均的な平均価格との差(標準偏差)との差。めんどくさい。
つまり、平均よりずっと高い取引事例は、平均的な平均との差よりもずっと差が大きいということ。
試験の成績で例えると、平均点よりずっと良い点数は、偏差値が高いということ。ごく当たり前のこと。
不動産の取引事例価格に、この当たり前が当てはまるのか、当てはまらないのかを確認するのがこのページです。
ほとんど平均価格とイコールの事例は、平均価格との差もほとんどゼロになりました。
テストの成績ならば、平均点を取った人の偏差値は50であるということ。
当たり前といえば当たり前。
金沢市で、住んでいるところと住んでいる人の身長などの場合、隣接地域との類似性はほぼゼロになると考えられます。
次にローカル。全体としては相関があるようですが、個別の地点となると周辺と関係が認められない場所もあるようです。
はっきりと相関が認められた地域だけを抽出して描画すると、このようになります。
輪郭がないので金沢のどこかが分かりづらいですが、統計的に有意なポイントは
・市の中心部(高いエリア)
・郊外でも特に遠いところ(安いエリア)
となり、平均的な価格のところ、
・南部郊外(額方面)や西部郊外(古府、八日市、上荒屋方面)、観音堂、畝田方面などは、強い相関が認められないようです。